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介護業界、コロナ禍以降で6割超が転職 約8割が「人手不足」と回答

福祉の人材サービスおよび育成を行う「ニッソーネット」が、同社に登録している介護派遣スタッフを対象としたアンケートを実施。介護スタッフの約8割が人材不足と回答し、「外国人介護士に早く来てほしい」という声が4割超に上ることが分かった。  同アンケートはコロナ禍での介護現場の実態を把握し発信することで、介護の仕事に従事するスタッフの声を広く知らせることを目的とし、2008年から継続して行っており今年で14回目となる。調査期間は2021年10月6日~同21日で、インターネット・モバイル回答方式で「ニッソーネット」登録の介護派遣スタッフ193人を対象に行われた。 「働いている職場では、現在、介護スタッフの数は足りていると思いますか?」との質問では、依然として約8割が「不足している」と回答。コロナ禍で消毒作業などの業務が増えたことで、介護現場では深刻な人材不足が続いていることがうかがえる。 「長く働ける介護の職場の条件として、最も求めるものは?」では、「職場の人間関係が良い」が3年連続1位で前年比10.1%増の50.8%となり、初めて半数を超えた。
(ENCOUNT 11月24日)

国が介護職に対して月9000円の賃金補助をする計画が発表されたが、これだけではどうにもならない。ただ、介護職の退職理由で最も多いのは賃金ではなく、以前から人間関係だった。ニッソーネットの調査でも、「長く働ける介護の職場の条件として、最も求めるものは?」に対して「職場の人間関係が良い」が3年連続1位だったという。  人間関係だけは職場の自助努力による以外にないが、就労環境の改善には国のサポートも必要だ。  厚生労働省は「介護職員の処遇改善」「多様な人材の確保・育成」「離職防止・定着促進・生産性向上」「介護職の魅力向上」「外国人材の受入環境整備」など総合的な対策に取り組む方針だ。たとえばハローワーク、訓練機関、福祉人材センターの連携強化による就職支援 ・介護・障害福祉分野の職業訓練枠を拡充するため、訓練に職場見学・職場体験を組み込むことを要件に、訓練委託費等の上乗せや、都道府県社会福祉協議会による介護・障害福祉分野に就職した訓練修了者への貸付金制度を創設した。  この要件を満たした就職者には都道府県の社会福祉協議会から20万円を貸し付け、介護分野等に就職して2年間継続して従事すれば返済が免除される。訓練機関で求職者支援訓練を受ける際には、訓練費用が無料で、職業訓練受講給付金として月10万円が支給される。 一方、介護施設に対しては、人材確保等支援助成金とトライアル雇用助成金を創設した。事業主が介護福祉機器の導入を通じて、事業所の雇用保険被保険者数に応じ、低下させる離職率の目標を達成した場合に助成する。  こうした支援策が実るかどうかはともかく、流れとしては外国人労働者をアテにせざるを得ないのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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