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夏のボーナス、平均77万円 12年ぶり下げ幅 厚労省集計

厚生労働省は10日、主要民間企業の2021年夏の一時金(ボーナス)妥結額が、平均で前年比6.59%減の77万3632円だったと発表した。 
減少は3年連続で、下げ幅はリーマン・ショック後の09年に記録した15.60%以来12年ぶりの大きさだった。新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化が影響した。  
全21産業のうち12産業で前年を下回った。最も下げ幅が大きかったのは、鉄道などの運輸で32.51%減。精密機器(11.49%減)や自動車(9.10%減)も大きく減った。また、前年と比べプラスだった産業の多くも伸びは小幅にとどまった。
(時事通信 9月10日) 

厚生労働省の統計は調査対象が「主要民間企業」つまり大手企業である。経団連の「2021年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」でも、やはり水準は高い。妥結額の総平均は、前年比7.28%の減少だが、84万1150円だった。
一方、中小企業も含めたボーナス支給額はどの程度の水準なのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、21年夏の民間企業のボーナス支給額は、前年比2.3%減の37万4,654円と予想していた。中小企業だけに限定すれば、さらに金額は下がり、おそらく大手企業の3分の1程度である。
会社員の場合、どのレールに乗るかで経済生活が決まってしまう。定年退職後の処遇にも大手企業と中小企業には格差がある。中小企業が大手企業並みの賃金を支払うには、大化けして高収益企業に発展しなければならない。そのためには経営努力だけではなく、市況という運に恵まれることが大前提である。
これだけ大手企業と中小企業に格差があるなかで、ひとつの傾向が見られる。従来から続く傾向だが、金融資産の形成に向かっていることだ。
日銀が発表した4─6月期の資金循環統計によると、家計の金融資産残高は6月末時点で1992兆円。前年比6.3%の増加となった。現預金や、株式・投資信託の残高増加が要因である。
将来の不安に備えた内部留保の蓄積は、企業も家庭も同じである。景気浮揚には貢献しないが、リスク対策を講じているのだから、この傾向を憂慮するにはおよばない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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