2021/09/06
スズキを40年以上トップとして率いてきた鈴木修さん(91)が、6月の株主総会で会長から相談役に退いた。他社に先駆けてインド進出を果たし、世界の自動車大手に飛躍する礎を築いた大御所は「生涯現役」を唱え、走り続けてきた。相談役となった今も「仕事は呼吸することと同じだ」と、気構えは変わっていない。
挑戦を続けることが健康の源
――昨今「人生100年時代」と言われます。まさにそれを地で行く人生ですね。
「当たり前の話ですから。生き抜くということが重要なのではないでしょうか。人間が生き抜くために仕事はある。仕事は私にとって呼吸なのです。それくらい自然なことです」
「鈴木自動車工業(現スズキ)のオーナー一族である鈴木家の一員になり、当社に入社しました。『会社を潰してはならない』、そして『会社の発展、これが人生』と思い、ひたすら走り続けてきた。挑戦を続けることが健康の源なのでしょうね。『私の年齢は7掛け』と言い続けてきましたが、今も心身ともに健康です」
(日本経済新聞 8月27日)
人生100年時代のかけ声が響く時勢にあっても、鈴木修氏のような就労観はまだ少ないのではないか。大物経営者ならではの使命感には感服する以外にない。
鈴木氏は創業者ではないが、創業経営者には生涯現役かどうかはともかく、年相応の引退を考えていない人が少なくない。この10月1日付で12年ぶりにワタミ社長に復帰する渡邉美樹氏も、そのひとりである。
「渡邉美樹メールマガジン」に意気込みを書いている。
<私は、40代のころには50歳で引退すると言い続けてきた。企業を第2、第3の成長段階に入れ、100年企業の礎を築いてもらいたいと思っていたが、間違いだと気付いた。創業者は生涯創業者であり、ゼロから作った会社を誰よりも理解し、愛している。特にこのコロナ危機においては、いちばん気力のある人が経営を担うべきだ>
東京商工リサーチが発表した『全国社長の年齢調査(2019年12月31日時点)』によると、全国の社長の平均年齢は62.16歳。前年から0.43歳伸び、調査を開始した09年以降で最高年齢となった。
社長の高齢化はリスク要素だが、大物創業経営者にとっては退任がリスクである。後継者とは経営力に差があり過ぎて、年齢を理由にバトンタッチすることに、そう簡単に踏み切れない。
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