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米ナスダック、上場企業に女性・非白人取締役の登用義務

米証券取引所ナスダックは米国の上場企業に対し、黒人など人種的マイノリティー(少数派)やLGBT(性的少数派)、女性の取締役登用を義務づける。取引所を監督する米証券取引委員会(SEC)が6日、上場ルールの改定を承認した。
ナスダック上場企業は今後、役員の多様性について情報開示を求められる。さらに女性とマイノリティーから1人ずつ取締役を選任しなければならない。マイノリティーには黒人やヒスパニック(中南米)系など人種的少数派に加え、LGBTも含む。海外企業の場合は、女性2人の登用で要件を満たせるようにするなど、一定の柔軟性をもたせる。
移行期間も設ける。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が米上場主要496社の役員構成を調べたところ、2020年時点で4割近くの企業は女性、マイノリティーの取締役が1人以下だった。人種的マイノリティーを新規に登用する企業は広がっているが、女性に比べると増え方は緩やかだ。
米国では警官による黒人暴行死事件をきっかけに、人種間格差の是正を求める声が高まった。企業の経営幹部クラスにおける男女格差も残る。米公的年金などESG(環境・社会・企業統治)問題を重視する機関投資家は、米上場企業に対して役員・従業員の多様性を確保するよう圧力をかけ始めている。
(日本経済新聞 8月7日)

日本でも、上場企業に女性取締役の登用が義務づけられる日はそう遠くないだろう。
東京証券取引所が今年6月に発表した改訂コーポレートガバナンス・コードは「女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保」を次のように規定している。
「上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである」
さらに補充原則が設けられ、女性・外国人・中途採用者の幹部登用について、可視化を求めている。
「上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである」
「中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである」
 女性登用ならまだしも外国人や中途採用者にまで幹部登用を義務づけられれば、内政干渉と反発する動きが出てくるのではないか。ただ、流れには抗えない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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