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あおぞら銀行、全行員にデジタル教育

あおぞら銀行はすべての役職員にデジタル人材としての教育を始める。グループ会社を含む約2000人に対し、IT(情報技術)に関する国認定の資格取得も視野に入れた講習を実施する。選抜者には高度な研修を施し、社長や役員には経営陣専用の講座も設ける。銀行経営にデジタル関連の知識が不可欠になっており、全行員の素養を高める。デジタル人材教育は2021年度から実施する。行員向けにオンラインで専門講座を用意す
る。ITの基礎知識を問う国認定の「ITパスポート」取得を視野に入れた内容で、地方勤務者のオンラインで受講できる。この資格試験の出題範囲はITを使った経営戦略や情報セキュリティーなど幅広い分野に及び、社員に受験を推奨する企業も多い。これとは別に、IT部門の担当者などを講師として、ITと銀行経営に関わる勉強会も開く。公募で選抜した行員約60人には、より高度な研修を実施する。
(日本経済新聞7月19日)

経済産業省の推計では、IT人材は2030年には最大で79万人不足する。それだけではない。人材の質も不足していることが「IT人材白書2020」で指摘された。ユーザー企業を対象とした調査で、2016年度調査から2018年度調査までIT人材の“質”が「大幅に不足している」割合が33%前後だったが、2019年度調査では39.5%となる変化が見られた。この窮状で喉から手が出るようなIT人材を確保するには、高額な報酬を用意しなければならない。しかも卓越したIT人材には就社意識が薄く、プロ人材として企業を渡り歩く傾向が強い。銀行の組織体質には馴染まないのではないか。いまや銀行は営業店舗の閉鎖が進み、フィンテックへの移行が加速している。銀行業はITビジネスへと転化しつつある。ところが金融庁の調査によると、地方銀行や信用金庫は「ITシステムを担うスキルを持った人材の確保・育成に課題を抱えている」という。だが、この調査ではIT人材関連の研修や資格取得などを問う8つの設問で「実施している」と答えた割合は、地銀が平均53%、信金は同17%に過ぎないことが明らかになった。その意味で、あおぞら銀行の取り組みには期待できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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