2021/07/23
厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」の目安小委員会は14日、2021年度の地域別最低賃金(時給)の引き上げ幅について28円を目安とすることを決めた。引き上げ幅は過去最高で、全国平均で現在の902円から930円に引き上げられる見通し。経営者側は新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化を理由に、現状維持を求め、引き上げを求める労働者側と対立したが、「全国加重平均1000円」を目指す政府方針を背景に引き上げる方向で決着した。小委員会後の審議会で最終決定し、厚労相に答申する。これを参考に都道府県ごとの審議会で引き上げ額が決定され、10月ごろ全国で新たな最低賃金が適用される。政府は16年度以降、デフレ脱却などを通じた経済再生のため、早期に全国加重平均で1000円を目指すとし、19年度まで4年連続で3%以上(20円台)の引き上げが行われた。しかし20年度は新型コロナの感染拡大による企業業績悪化を背景に、政府は「雇用維持が最優先」として引き上げに慎重姿勢を示した。これを受け審議会も「目安を示さない」という異例の結論を出し、全国加重平均で0・1%(1円)の引き上げにとどまった。現在の最低賃金の全国加重平均は902円。最高が東京都の1013円、最低が秋田県や沖縄県などの792円。
(毎日新聞7月14日)
最低賃金の引き上げはコロナ禍で業績の悪化した中小企業には重荷だ。7月14日付け産経新聞には、そんな嘆きが報じられている。<兵庫県内で飲食店を営む女性は「人件費が上がるなら、パートの勤務を減らして正社員で回すしかない」と話す><関西でも店舗を展開する東京都内のサービス業の取締役は「わが社はパートやアルバイトが多い。時給を上げるならば、逆に労働時間を減らさなければならないだろう」と打ち明ける>最低賃金の引き上げは外国人労働者の雇用コストも直撃する。技能実習生にも特定技能にも、雇用主は当該地域の最低賃金以上を支給することが義務付けられている。雇用をためらう事業者も増えるのではないのか。懸念されるのは最低賃金を遵守しない事業者が現われることだ。遵守しない事業者は昔から少なくない。最低賃金には守れないルールの策定という問題が潜んでいる。
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