2021/07/21
日本経済新聞社がまとめた2021年夏のボーナス最終集計(6月29日時点)で、全産業の平均支給額は前年比2.86%減の76万8774円だった。3年連続のマイナスだったが、全31業種のうち電機など13業種で前年よりも増額となった。新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか企業の業績見通しも改善しつつあり、底打ち感も出始めている。 上場企業を中心に20年と比較可能な438社の数字をまとめた。減少幅は20.年の約半分となり、5月時点の中間集計の3・64%と比べても改善した。ワクチン接種の進展などで事業の先行きに明るさが見えてきたことがボーナスの交渉に影響していることがうかがえる。業種別では製造業の改善が目立った。従業員数の多い電機は2・09%増の3年ぶりの増額となった。電機で伸び率首位のセイコーエプソンは在宅勤務の普及により家庭用プリンターの販売が好調で、34・57%増の114万2792円だった。食品(6・04%増)や精密機器(3・13%)も前年を上回った。(中略)上場企業の22年3月期の純利益は前期に比べて28%増える見通しだ。需要が急回復している製造業がけん引役となっており、業績連動色の濃いボーナス支給額にも反映されている。
(日本経済新聞7月11日)
夏のボーナスには業種間の明暗が反映された。が、業種内の明暗も顕著である。厚生労働省によると、コロナの影響で解雇・雇い止めされた労働者は7月9時点で11万326人。業種別では、製造業、小売業、飲食業の順に多かったが、製造業の業績は全体に回復基調にあるので、製造業のなかでも明暗の差が開いた。一方、休業や廃業の動向はどう推移しているのだろうか。帝国データバンクの調査では、2021年1-6月に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む)は2万8400件。前年同期比4.6%減だった。前年同期比で最も増加したのは「男子服卸売」(21件、前年同期比200.0%増)。次に一般旅行業、熱絶縁工事、旅行代理店などが続き、旅行代理店など旅行業全体の休廃業・解散は過去最多ペースとなった。コロナ禍でのライフスタイルの変化が休業や廃業を進行させている。帝国データバンクは「ゼロ・ゼロ融資をはじめ官民一体の資金繰り支援やコロナ対応の補助金が中小零細企業の経営を強力に下支えし、休廃業・解散の増加を大きく抑制した」と分析している。補助金措置が終了したときが心配だ。
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