2021/07/15
雇用の指標として厚生労働省が毎月発表する「有効求人倍率」をめぐり、新型コロナ対策の緊急事態宣言が繰り返される地域とそれ以外の地域で、回復具合に差が出始めている。営業自粛要請などが地域経済の足かせになっていることをデータが裏付けている形だ。求人倍率は、求職者1人に対し、求人が何件あるかを示す。有効求人倍率(季節調整値)の全国平均は2019年12月には1・57倍あった。これが20年4~5月に全国が対象になった1回目の緊急事態宣言を経て、同10月には1・04倍まで低下。都道府県別の倍率も軒並み下がり、20年中はほぼ横ばいで推移した。21年の都道府県別の有効求人倍率(就業地別)は、動きが2極化している。1月以降、宣言や「まん延防止等重点措置」が断続的に出ている東京都と大阪府。5月を昨年10月と比べると、東京は0・05ポイント、大阪は0・03ポイントそれぞれ悪化し、まだ底が見えない。同様に宣言や重点措置の対象になった愛知、福岡、沖縄などの地域も回復は0・1ポイント未満と小幅だ。一方、今年に入ってからは宣言の対象になっていない地域では、数値が大きく回復したところがある。例えば、福井県は昨年10月から0・25ポイント、秋田県は0・28ポイント改善し、コロナ禍前の水準を取り戻す勢いだ。
(朝日新聞デジタル7月7日)
地方創生が話題になりはじめたとき、高齢化対策を見据えて、地方では医療介護が最大の雇用分野になるという議論がクローズアップされた。すでに地元で有力な雇用の受け皿になっている例は全国各地に散見される。医療介護による地域創生が取り組まれているという見方もできるかもしれない。社会保障財源で成り立っている業種なので、GDPにどれだけ寄与するかはともかく、雇用吸収力が衰退しない業種である。人手不足は慢性化している。この業種への就職が進めば地方の雇用は一気に回復する。だが、いくら求人を出しても応募者が少なく、雇用回復に寄与できる状況ではない。雇用情勢が悪化すると、医療介護への労働移動が進んだ時代もあったが、過酷な業務と賃金が見合わないのだろうか。就職先の対象から外されることが多い。コロナ禍の当初には労働移動に期待する意見もあったが、夢想にすぎなかった。いまでは「地方ではとくに若者を採用できなくなった」(介護事業者)と採用難がますます進行している状況だ。
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