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東武百貨店、40歳以上対象に早期退職200人募集

 東武百貨店が従業員の早期退職募集を始めたことがわかった。募集人数は約200人で、今年8月末時点で40~64歳の社員約750人を対象に実施する。
 親会社の東武鉄道が、23日に公表した有価証券報告書で明らかにした。募集は17日から始めており、退職日は8月末。応募者には退職金を上乗せする。勤務年数や職種、所属部署などは問わず、定年退職後の再雇用者も対象に含む。退職金加算などによる損失の額は現時点で未定としている。
 コロナ禍による訪日外国人の激減などで、百貨店業界は経営が悪化している。東武百貨店は2021年2月期決算で62億円の最終赤字を計上しており、「事業構造改革に向け、要員の適正化が不可欠」としている。
(読売新聞オンライン 6月23日)

 40~64歳の社員約750人の4分の1近くが8月末をもって退職するというニュースだ。
 3月時点の社員数は918人だから、人員削減は全体の2割におよぶ。
 いまの時期、多くの企業が業績悪化の理由をコロナ禍と受け止めているが、業種や個々の企業に固有の理由もある。百貨店の場合、ネット通販の普及とともに業態の衰退が予想されていた。
 その趨勢にコロナ禍が重なって、業績が急落したのである。館内をテナントで埋めて、商業施設の賃貸業へと業態を転換するシナリオを示す流通専門家もいたが、かりにこのシナリオが有効でも、コロナ禍でテナントが集まるとは思えない。
 それはともかく、早期退職する社員は今後どうするのか。会社が再就職を支援するといっても、再就職先を紹介してくれることはない。人材紹介会社につないでくれる程度である。
先頃、リサーチ会社で営業職に就く45歳の知人が転職を考えて、数社の人材紹介会社に相談したところ、求人先はいくらでもあるが、給与が相当下がるという現状を教えられた。知人の結論は「とりあえず辞めないほうがベター」だった。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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