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SOMPO、ルネサンスから出向者受け入れ

SOMPOホールディングス(HD)は介護事業子会社でスポーツクラブ運営のルネサンスから出向した社員の受け入れを始める。まず最大で50人を受け入れ、介護施設での運動プログラムづくりなどに携わってもらい、新事業の創出につなげる。ルネサンス側は社外留学制度を活用する。新型コロナウイルスの影響で業種を超えた社員の出向が増える中、事業創出に生かす取り組みが広がってきた。
6月から介護子会社のSOMPOケア(東京・品川)に出向する。10月まで順次受け入れを進める方針で、出向期間は最低1年間。出向中は同社が運営する介護施設で働き、運動プログラムづくりなどに携わってもらう。給与はSOMPOケアの給与水準に合わせてSOMPO側が負担するが、出向前の給与の方が高い場合は差額分をルネサンスが負担する。
両社は2000年12月から介護事業などで業務提携をしており、認知機能低下予防や身体機能の改善などで新事業の開発を進めている。ルネサンスの社員に実際の介護現場で高齢者と接してもらい、新事業の開発に生かす。ルネサンスはスポーツジムでシニア向けプログラムを運営するほか、リハビリに特化したデイサービスも運営している。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など様々な介護サービスを手掛けるSOMPOへの出向で介護ノウハウを学び、出向後の事業開発などに生かしてもらう。
(日本経済新聞 6月15日)

ルネサンスとSOMPOケアが介護事業で業務提携したのは2000年12月。介護保険制度が発足したのは同年4月だから、介護保険制度と軌を一に提携関係は進んできた。ルネサンスからSOMPOケアへの出向は親和性が高く、ノウハウの取得など多くの効果を期待できるのはないか。
両社の業務提携は ① ルネサンスによる介護施設等向けオンライン運動プログラムの開発・展開サポート・システム提供 ② SOMPOケアの介護食を、ルネサンス介護リハビリ施設およびルネサンスの既取引先介護施設に おいて販売 ③ SOMPOケアの物品共同購入システムをルネサンスへ提供 ④ 認知機能低下予防分野でのサービス開発、提供 ⑤ 両社各施設間の相互紹介、ノウハウの相互利用 ⑥ 両社各施設の共同出店。
このうち①では、ルネサンスがコロナ禍での介護施設等に入居する高齢者の運動不足・ADL(日常生活動作) 低下への対応策として、オンラインで運動指導者と介護施設をつなぐ運動プログラムを開発、SOMPOケア施設でのテスト導入、改良を経て、2021年4月に、オンライン運動プログラム「オンライン健康教室」としてサービスを開始した。週2回各60分間、SOMPOケア施設にライブ配信されている。要介護度別に2種類の運動プログラムが提供され、運動指導者とのコミュニケーションを通じて、施設入居者が楽しく運動を継続できることをめざしているという。
ルネサンスはリハビリ特化デイサービスを運営しているが、コロナ下で多くのデイサービスで利用者が減少し、収益悪化に直面している。利用者が高齢者であるだけに、ワクチン接種が進んででも、業績回復には時間がかかりそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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