2021/06/11
アステラス製薬は3日、早期退職者を募集すると発表した。対象は同社と国内グループ会社2社の従業員。想定人数は450人で、応じた場合は割増退職金を支給する。退職日は今年末。同社の早期退職募集は2018年以来3年ぶり。
早期退職の募集は、成長や競争力強化に向けた組織などの見直しの一環。業績への影響は、応募者数が確定した後に発表する。割増退職金費用は総額100億円程度を想定している。
(時事通信 6月3日)
アステラス製薬の当期利益は2018年度2020年度にかけて、なだらかな右肩下がりで推移している。黒字とはいえ、経営改革の着手に迫られていると認識したのだろう。同社がさる5月26日に発表した「経営計画2021」には、コア営業利益率30%以上(25年度)などの成果目標を達成すると、25年度に株式時価総額7兆円以上を達成することが可能になるという。
この経営目標の達成に向けて黒字リストラを実施するのだが、同社はその理由をホームページにアップしている。
<急速な事業環境変化に柔軟に対応し、中長期にわたる持続的な成長シナリオを盤石なものとするために、常に経営資源配分の見直しを行っています。このたび、2021 年 5 月 26 日に発表した「経営計画 2021」の実行に必要な組織およびケイパビリティの見直しを行った結果、「早期退職優遇制度」を導入することを決定いたしました>
ケイパビリティとは能力や才能の意味だから、経営計画2021に対して適性のない社員には辞めてもらいたいという趣旨だ。経営改革のたびにケイパビリティが見直されれば、社員と職場の関係は業務委託に近くなる。良し悪しはともかく、雇用のあり方が変わる以上、社員は”使い捨て”を覚悟しなければならない。
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