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JAL、出向2000人に

日本航空(JAL)の赤坂祐二社長は日本経済新聞の取材に応じ、新型コロナウイルス禍を受けた社員の外部出向を1日あたり2000人規模に拡大する見通しを明らかにした。運航規模を縮小するなか雇用を維持し、社員の能力向上にもつなげる。「地方でワクチン接種会場の支援業務の依頼が来ており、ぜひやっていきたい」と話した。
JALは5月上旬時点で約1700人のグループ社員が出向していた。受け入れ先に名のり出る企業などが相次ぎ、人数は近く2000人規模になるもよう。雇用調整助成金の対象となる教育訓練中の従業員と合わせて「人員の余剰は解消されている」と話し、2000人程度が上限とみる。
成田空港のある千葉県成田市ではワクチン接種会場で来場者への案内業務などにあたる従業員もいる。他の空港のある地域でも接種関連の補助業務を視野に入れる。
(日本経済新聞 5月31日)

厚生労働省は雇用調整助成金の特例措置を7月末まで延長し、8月以降の取り扱いは6月中に発表する。延長が繰り返されるとはいえ、いつかは切れる。それまでに出向先を確保できない企業では、余剰人員は失業せざるをない。
出向先を確保できるかどうかは、ひとえに当該企業のブランド価値次第である。会社員の評価方法はけっして人物本位ではない。どこに勤務しているのかで評価されがちで、大手企業や外資系企業などブランド価値の高い企業に勤務していれば、本人も有能と評価される傾向が強い。一方、勤務先が中小企業なら評価は下がってしまう。それが現実である。
したがって、多くの中小企業では雇用調整助成金が切れたら、余剰人員を失業させざるを得ない。余剰人員として扱われるのはおもに40歳以上だが、この年代は、いつの時代でも再就職の前途は明るくない。茨の道である。
帝国データバンクが2021年4月に実施した調査では、正社員が不足する業種は多い順に「メンテナンス・警備・検査」(55.6%)「教育サービス」(55.6%)「建設」(54.5%)「情報サービス」(54.1%)「農・林・水産」(53.5%)。どんな調査でも人員不足業種の上位にランクされる「医療・福祉・保健衛生」は44.4%だった。
だが、これらの業種なら40歳以上でも採用されやすいとは限らない。やはり欲しいのは若手である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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