2021/03/22
三菱UFJ銀行は12日、来年春の新卒採用から、デジタル分野などに優れた社員に対し、能力に応じて給与を決める制度を適用すると明らかにした。これにより、大卒1年目でも年収が1000万円になる可能性がある。一律の初任給を見直すのは大手行で初めて。
金融とITを融合させたフィンテックの台頭などで経営環境の変化は激しく、給与体系を弾力化して外資系に流出しがちな専門人材を取り込む。
対象はデジタル分野のほか、金融工学、財務会計などの専門人材。親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループの採用枠として導入していた制度を活用する。新卒で採用する40人ほどの専門人材から、特に能力にたけた人材に適用する方針だ。
(時事通信 3月12日)
3月16日付け朝日新聞によると、大和証券も三菱UFJ銀行と同様に人事に着手する。自己売買部門のトレーダーやIT分野に携わる人材を想定して設ける「高度専門職」を対象に、
新入社員の初任給を月額40万円以上(30時間分の固定残業代を含む)にして、トレーダーの場合、実績次第で年収5000万円に達することもあるそうだ。
高度専門職の社員数目標は、2030年度までに社員全体の5%程度に当たる500人。ただ、「高度専門職」社員は成果を上げられなければ、通常の給与体系に移行させられるのだろうが、その現実を受け入れるとは思えない。落伍者の烙印を押されたのも同然で、いたたまれないだろう。
たぶん外資系金融機関に転職するだろうが、そんなケースが続くと、高度専門職は外資への転職予備軍にもなりかねない。あるいは草刈り場としてみなされるかもしれない。当然、大和証券も三菱UFJ銀行も、その程度のことはじゅうぶんに想定しているはずだ。対抗策として外資からのスカウトをはじめれば、高度専門職のマーケットが形成される。
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