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HISも22年度新卒採用見送り決定…JTBなどに続き

旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は、2022年度の新卒採用を見送ることを決めた。コロナ禍で業績が悪化しているためだ。21年度は約600人の採用を予定していたが、途中で採用活動を中止しており、採用数は26人にとどまる見通しという。
 HISは20年10月期連結決算で、最終利益が250億円の赤字(前期は122億円の黒字)となった。人件費を抑制するため、全社員の2割弱にあたる約1000人を、グループ外に一時出向させることも検討している。
 旅行会社の採用を巡っては、JTB、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT―CTホールディングス、日本旅行が、22年4月入社の新卒採用の見送りを決めている。
(読売新聞オンライン 3月8日)

エイチ・アイ・エスの2020年10月期連結決算は、02年の上場以来初の赤字となった。
純損益が250億円の赤字(前期は122億円の黒字)で、売上高も46.8%減の4302億円と大幅に低下した。
新卒採用の見送りは必然だろうが、新卒採用を見送ると5~10年後に社員年齢の構成比がアンバランスになるので、少人数でもよいから毎年採用すべきであるという意見がある。
ここで問われるのは年齢構成のあり方だ。どこまでのバランスを整えることが望ましいのか。
年功序列人事の終焉や新卒一括採用の見直しで、年齢構成の重視は時代遅れになるのかもしれない。たとえば伸び盛りのベンチャー企業で、10年後を見据えた年齢構成の考慮など聞いたことがない。
パフォーマンスは年齢ではなく個人の問題という“正論”は、これから強まっていくだろうが、スキルの伸びしろは中高年社員よりも若年社員のほうが大きい。多様性の観点からは高齢者も活躍する職場が望ましいが、成長力を重視するなら社員の平均年齢は若いほうがよい。
若すぎると経験値の乏しさというマイナス要素が顕在化しやすいが、要所にベテランを配置すれば事足りる。肝心なのは年齢構成よりも平均年齢だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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