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完全失業率1月2.9%に低下、有効求人倍率は上昇 緊急事態宣言の影響は限定的

総務省が2日発表した1月の完全失業率は2.9%となり、前月から0.1ポイント低下した。新型コロナウイルスの影響が続く中で緊急事態宣言の発令により雇用状況の悪化が懸念されたが、大きな影響が出ることはなかった。
厚生労働省が同日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍で、前月から0.05ポイント上昇した。 男性の失行率は3.2%と前月と同率。女性は2.6%と前月に比べて0.2ポイント低下した。年齢別では15~24歳が5.8%と最も高く、65歳以上が1.8%と最も低かった。
完全失業者数(実数値)は197万人で前年同月比38万人の増加、12カ月連続の増加となった。求職理由別では「勤め先や事業の都合による離職」が18万人、「自発的な離職(自己都合)」が3万人、それぞれ増加した。
就業者数(実数値)は6637万人で前年同月比50万人減。10カ月連続の減少となった。宿泊・飲食サービス業で39万人、卸売・小売業で22万人それぞれ減った。一方、医療・福祉、教育・学習支援業などは増加するなど、産業別で明暗が分かれる状況が続いている。
(ロイター 3月2日)

 総務省や厚生労働省の調査では、コロナの影響による雇用悪化は限定的だが、深刻な状況であることには変わりない。
コロナ禍で非正規雇用の女性が増大した「女性不況」の現況はどれだけ深刻なのか。この問題を調査したのが野村総合研究所である。
同研究所は今年2月、全国の20~59歳の男女パート・アルバイト就業者6万4943人と、そのうち新型コロナでシフトが減少した男女6332人を対象に調査を実施した。その結果、
2月時点でパート・アルバイトの「実質的失業者」は、女性103万人、男性43万人だった。
 パート・アルバイトは雇用の調整弁ゆえに真っ先に失業を強いられるのだが、問題はそれだけではない。雇用対策の公的支援措置を知らない人が多いのだ。情報を得にくい立場でもあるが、実質的失業者の5割が「シフト減でも休業手当を受け取れること」や「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」を知らないという。
 ひとたび貧困への負のスパイラルに入ってしまうと、這い上がるのは容易ではない。這い上がろうとする気力が萎えてしまうのだ。行政は支援措置の広報活動を強化してほしい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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