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川重、年功賃金を廃止 来年度、成果重視

総合重工業大手の川崎重工業は26日、2021年度から年功賃金制度を撤廃することを明らかにした。給与のうち年齢に応じて支給する分を全廃する。努力や挑戦を評価し、役割や成果を処遇に反映させる新人事制度を導入し、従業員の意欲を高めるのが狙い。  
新制度への移行は、一般従業員約1万3000人が4月から、管理職約4000人は7月からとする。生産部門の従業員では、習熟度の評価を賃金に反映させる。  
管理職には、職務(ジョブ)内容に賃金を関連付けるジョブ型人事制度に近い考え方を採用。ポストのほか、目標の達成度に応じて賃金に差が出る仕組みとする。
(時事通信 2月26日)

成果主義人事もジョブ型雇用も、要は人件費抑制を目的にした措置である。新たな人事制度がどれだけ革新的に見えても、目的はおおかた人件費抑制だ。
人件費に余裕があれば年功序列・終身雇用を継続できるが、経済成長の持続が期待できない以上、さまざまな必然性を設けて人事制度にメスを入れざるを得ない。社員も会社の狙いをわかっているだけに、労働意欲を喚起する人事制度を設計しなければならないが、どこまで社員を動機付けできるだろうか。
副業の解禁も同様だ。他流試合の経験を通じて人的ネットワークを拡大し、異質なスキルを身につけ、視野を拡大できれば本業にもプラスに働く――たしかにその通りだが、解禁する真の理由は(これからは期待に添えるだけの給与を払えないから、足りない分は他で稼いでほしい)という要請だろう。いわば自活の要請である。
ジョブ型雇用による専門人材として、成果に応じた給与を受け取り、不足していれば副業で補う。どんどん自営業に近づいていく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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