2021/02/25
政府と労使団体などは17日、出向を促進するための官民協議会を発足させた。都道府県ごとに公的機関や労使団体で構成する地域の協議会を設置し、全国で人手不足企業と過剰企業の人材をつなぐ。失業を伴わない柔軟な労働移動を促す。「全国在籍型出向等支援協議会」が発足した。厚生労働省や経済産業省などの官庁のほか、経団連や日本商工会議所、全国銀行協会、連合らが参加する。それぞれの出先機関と、出向を支援する公的機関である産業雇用安定センターが各地域で連携する。政府は助成金や減税で出向を後押しする。厚労省が創設した産業雇用安定助成金では出向元と出向先の双方を対象に1人1日1万2000円を上限に助成する。別途、1人あたり最大15万円の経費も補助する。出向者も含め人件費が増えた企業には減税措置も用意する。17日の会議では労使の代表が出向を積極的に進めていく意向を表明した。新型コロナウイルス禍で休業が長期化し、労働者の勤労意欲の低下や将来不安が広がっている。出向であれば他の仕事をしながら新しいスキルを学べる。就労時間が確保できれば賃金も増える。(日本経済新聞2月18日)
官民挙げた取り組みで雇用維持に向けて他社への出向人事が加速しそうだ。スキルアップなどの副次効果が認められれば、雇用情勢が回復して以降も、他社への出向がローテーションに組み込まれるかもしれない。今春に賃金改定に向けて労使交渉が本格的にはじまった。要求内容で目につくのは雇用の維持である。朝日新聞デジタル(2月18付け)によると、自動車業界では、新型コロナ禍による業績への影響を背景にホンダや三菱自動車、マツダの各労組は、賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)の要求を見送った。トヨタ自動車や日産自動車、スバル、スズキの各労組は賃上げを要求。航空や鉄道、飲食などには、賃上げよりも雇用維持を要求の前面に掲げる労組もあるという。
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