2021/02/12
社長の平均年齢は年々上昇し続けており、70歳以上で現役の社長も珍しくはない。その一方、全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%(「全国企業『後継者不在率』動向調査(2020年)」帝国データバンク、2020年11月発表)と依然高水準であり、事業承継への備えが追いついていない現状もうかがえる。
帝国データバンクは、2021年1月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)から企業の社長データ(個人、非営利、公益法人等除く)を抽出。約94万社を、業種別、業歴別、都道府県別に集計・分析した。
2020年の社長の平均年齢は60.1歳(前年比+0.2歳)と、調査を開始した1990年以降初めて60歳を超え、過去最高を更新した。年代別の割合をみると、「60代」が構成比27.3%を占め最多、「50代」が同26.9%、「70代」が同20.3%で続く。
上場企業社長の平均年齢は58.7歳(前年比±0.0歳)、年代別では「60代」が構成比43.3%を占め最多となった。
社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が62.2歳で最も高く、「製造業」(61.3歳)、「卸売業」(61.0歳)、「小売業」(60.2歳)も全体の平均年齢を上回った。また、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多、「不動産業」では「70代」が最多となった。
(帝国データバンク 2月5日)
帝国データバンクの調査によると1990年の社長平均年齢は54.0歳。20年間に6歳上昇した。いまの60代は肉体的にも精神的にも若く、引退する年齢でない、第一線でバリバリ活躍すべきだ――70歳を超えた社長は、そんな意見を述べることが多い。
年老いて判断力が鈍るかどうかには個人差が大きい。一概に引退の適正年齢を割り出せるものではないが、社長が60歳を超えてもなお長期政権を敷くことには、大きな弊害がある。世代交代がいっこうに進まず、後任が育たないのだ。後継者不在を理由としたM&Aには、多くの場合、後継者を育成しなかったという問題がセットになっている。
どれだけバリバリと働いていようが、いずれ衰える。その日を想定する社長は後継体制の準備に入るが、生涯現役を意思決定した社長は、世代交代による組織の永続よりも自身の日々の張り合いを優先する。引退の進言はタブーとなってしまう。
帝国データバンクは「社長の平均年齢は今後も上昇傾向が続くとみられるが、これまでに培ってきたノウハウや歴史を絶やさないためにも、円滑な事業承継に向けた準備が急務になっているといえよう」と指摘する。
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