2021/01/04
『就職四季報2022年版』(総合版)では、3年後離職率を掲載しているが、今回離職率の低い会社すなわち定着率の高い会社を集計した。そこから年収の高い会社を抽出し、給料が高く新卒が辞めない会社ランキングとして紹介したい。ランキングを作成するにあたり、2017年の入社人数が10人以上で、かつ平均年収800万円以上の会社を対象とした。なおランキングは、定着率、年収の順にランキングしている。
ランキングでは、定着率100%の会社は25社。昨年度に比べ3社増加した。栗田工業は総合水処理の最大手企業で、半導体や液晶工場で使用する超純水を販売する事業もある。東亞合成は、カセイソーダなど化学品メーカーで、接着剤「アロンアルファ」の製造、販売も手がける。アンリツは、1895年創業の通信計測器メーカー。無線基地局建設・保守用計測器はトップ企業だ。
2年連続定着率100%の会社は、7社(NTT都市開発、サカタインクス、三井不動産、三菱地所、朝日放送テレビ、東京建物、日鉄興和不動産)に上っている。
ランキングに掲載した202社を業種別で確認すると、化学(1位三菱ガス化学、同・東亞合成、同・関西ペイント、同・サカタインクス、28位宇部興産ほか)、建設業(1位日鉄エンジニアリング、43位三井住友建設、46位竹中工務店、59位大林組、66位鹿島ほか)が各20社、商社・卸売業19社(1位日本紙パルプ商事、同・明和産業、同・三谷商事、53位伊藤忠エネクス、77位住友商事ほか)と続く。 2019年に発表したランキングでもこの3業種がトップ3を占めている。
(東洋経済オンライン 12月19日)
新卒社員の定着が全体に芳しくない風潮は昔から変わらない。「石の上にも三年」という格言は新卒社員には通用しない。厚生労働省の調査では、新卒社員の3年以内離職率は、過去20年にわたって30%前後で推移している。
ただ、これは平均値で、業種によって結構な開きがある。厚労省が2020年10月に発表した調査によると3年以内離職率が40%を超す業種もある。たとえば教育・学習支援業(45.6%)、生活関連サービス業・娯楽業(46.2%)、宿泊業、飲食サービス業(52.6%)などだが、50%前後が3年以内に離職するのは由々しき状況だ。
人材流動化の時代とはいえ、ここまで離職率が高い会社は、おしなべてブラック体質が強い。ハードワークを強いるのなら、それに報いて然るべきだが、給与水準も低いのだ。
その点、『就職四季報2022年版』で定着率の高い会社は、給与水準が高いだけでなく、組織風土も健全なのだろう。だから新卒社員にとって、辞め理理由がないのだ。多様な働き方という流行り言葉が勢いを増しているが、やはり定着率は組織の健全度を評価する重要な指標である。
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