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社外取締役1000人不足、複数社の兼任増加も

企業統治の担い手不足が深刻になっている。2021年に金融庁や東京証券取引所が企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード、総合2面きょうのことば)を改定すると、約1000人の独立社外取締役が不足する見通し。女性や外国人など多様性も海外に比べて遅れており、兼任者が増えると実効性が低下するおそれもある。候補人材を育成する仕組み作りが急がれる。
改定指針では東証一部を引き継ぐ「プライム市場」の企業に対し、独立した社外取締役を全体の3分の1以上にするよう求める見通し。現指針の2人以上から厳しくなる。法的強制力はないが、従わない場合は投資家への説明が必要だ。
上場企業が東証に提出するコーポレートガバナンス報告書をQUICKで集計した。東証一部(外国会社除く)2178社で、独立社外の人数が3分の1に満たない企業数は4割強の896社ある。時価総額の大きい企業でも信越化学工業やキーエンスなどは3分の1に満たない。
(中略)
社外取締役を紹介するアイ・アールジャパンの古田温子氏は「女性、日本語が話せる外国人、IT関係に強い人材に集中している」という。
(日本経済新聞 12月17日)

求人検索エンジン「スタンバイ」に社外取締役の求人が掲載されていた。条件は「勤務時間:①10:00~ ②13:00~」「実働時間:1時間30分程度」原則月1~2回の取締役会に出席」「取締役会前30分間は社長とミーティングを行う」「毎年6月下旬の株主総会にご出席」。
勤務先は東京都で、社名、業種、報酬は非開示だが、報酬相場はどのぐらいなのだろうか。
2年前に発表された朝日新聞と東京商工リサーチの調査によると、東証一部上場企業の社外取締役の平均報酬は年663万円。800万円以上が3割を占め、200万円未満は5%だった。
報酬が高額だったのは日経平均株価に採用されている企業で、報酬が判明した218社の平均は1200万円。最も高額だったのは日立製作所の3944万円、次に岩谷産業の3900万円、3番目が住友不動産の3225万円だった。
複数の企業を兼務するケースも多く、4社以上兼務する社外取締役がいる企業が約300社で、合計報酬が5000万円を上回る人もいたという。
社外取締役が不足している現状では、兼務が増え、報酬もアップするだろう。ちょっとしたバブルかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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