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担当外の仕事2割までOK やりがい向上、政策反映 環境省

環境省は、職員が業務時間のうち20%までを担当外の活動に充てることを認める方針を決めた。  米グーグルなどの取り組みを参考に「霞が関版20%ルール」と命名。職員が配属先と異なる部署の業務に関われるようにして仕事のやりがいを高めるほか、幅広い視野に基づく政策づくりを促す。  10月末ごろから試行し、2021年度から本格実施する。中央官庁では初の試みとみられる。
活動内容の届け出を所属部署の上司に提出し、公務として認められれば原則誰でもできる。環境政策に貢献することが条件だ。新ルールは働き方改革を掲げる小泉進次郎環境相の下、同省職員のアイデアから生まれた。
具体的には「省内副業型」「新規開拓型」などのタイプに分類。省内副業型は、関心ある他部署の業務に貢献するもので、例えば国際交渉に携わっていた職員が、異動後も継続的に関われるようにして、専門性の高い人材育成につなげる。
新規開拓型は、環境関連でも省がまだ携わっていない分野の開拓を想定。例えば服の大量廃棄問題といったファッション産業での環境課題などが挙げられる。担当外分野の企業との勉強会や学会に参加したり、関係者と議論したりする活動を認めることで、社会のニーズに合った政策づくりを進められるようにする。(時事通信 10月15日)

中央省庁の場合、省庁によって組織文化が異なるようだ。たとえば経済産業省には、他部署の業務にも関与できる文化が浸透しているが、厚生労働省の組織文化は他部署には関与しないことだという。明確が差異なのかどうかはともかく、温度差があるのだろう。
両省の温度差について「経産省の前身である通産省はマッカーサーに喧嘩を売った白洲次郎が立ち上げた。一方、厚労相の前身である厚生省は内務省から派生して設立された。組織文化はこうした歴史に由来するのではないだろうか」(関係者)という見方もある。
部署外の業務に関わることは視野が広がる――これが一般的な見方だが、広がるかどうかは関わり方次第だ。中途半端な関わり方では、異分野のつまみ食いに終わりかねない。つまみ食いされる側の部署も、お客さんを迎えるスタンスになってしまう。
環境省が運用をはじめる「霞が関版20%ルール」が何を成果目標にしているのかは定かでないが、オープンイノベーションに至ればおもしろい。もっとも省内の縦割りを打破できれば、それだけで御の字だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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