2020/09/28
総務省が敬老の日を前にまとめた15日時点の人口推計によると65歳以上の高齢者人口は前年比30万人増の3617万人だった。総人口に占める割合は0.3ポイント上昇の28.7%でともに過去最多を更新した。2019年の65歳以上の就業者数は18年より30万人増の892万人で過去最高だった。「団塊の世代」と呼ばれる1947~49年生まれを含む70歳以上の人口は78万人増の2791万人となった。後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上人口は24万人増の1871万人に上った。日本の総人口は前年に比べて29万人減の1億2586万人となる一方、高齢者人口は増え続けている。
(中略)
一方で19年の65歳以上の就業者数は16年連続の増加となった。15歳以上の就業者総数に占める割合も18年に比べて0.4ポイント増の13.3%と過去最高だった。65歳以上の高齢者の就業率は24.9%だ。13年に20.1%と2割を超え、6年でさらに4.8ポイント上昇した。男女別で見ると、男性は34.1%、女性は17.8%となった。いずれも8年連続で増えた。(日本経済新聞 9月21日)
元気高齢者が増えることは社会保障政策にとっては望ましいが、生涯現役が“生涯第一線”に転化すると、望ましいのは本人だけかもしれない。次世代の後方支援に廻る生涯現役と、第一線に立ちつづける生涯現役とではまったく違う。本人にとっては後者のほうが“現役感”を実感できて満足度は高く、なかなか第一線から離れようとしない。
第一線にしがみつき、次世代に道を譲らないという一面は自覚できないが、それで健康を維持できればメデタシだ。本人には好循環である。だが、次世代にとってはどうだろうか。ITリテラシーと称される問題よりも、加齢による曲解や堪え性のなさなどに対して、次世代は困惑するのだ。かつての上司や先輩に当たるだけに、困った言動にも忍従せざるをえない。充実しているのは本人だけという就労実態では、いずれ何かしら反動が表面化する。再雇用にさいしては、加齢によるコミュニケーションの障害も自覚させ、注意を喚起する研修が必要だ。
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