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特定技能取得へ 在留外国人支援

ono20200825

国内にいる外国人の在留資格について、介護など「特定技能」への切り替えをサポートする企業が増えている。外国人材紹介などを手掛けるオノデラグループ(東京・千代田)は留学生などに日本語や介護の知識を教え、資格の変更を支援する。パーソルホールディングス(HD)系も切り替え手続きの代行を始めた。人手不足の解消につながる一方で、円滑な運用には在留者の希望を適切にくみ取ることが必要だ。
オノデラグループは介護現場でアルバイトをしていたベトナム人留学生について、在留資格を特定技能に切り替える手助けをした。女性は8月から京都府内の病院に就労した。同社として資格変更をサポートした最初のケースだ。9月にはさらに介護技能を持つ2人が就業する予定だ。
同社は4月から、傘下のオノデラユーザーラン(東京・千代田)が運営する特定技能求人サイト「OH CAREEA」を改編した。特定技能資格に関心のある在留外国人が登録し、特定技能の「介護」資格の習得に必要な日本語や専門知識の講座をオンラインで受けられるようにした。試験に合格した後は、オノデラが国内での就職先を紹介する。
(日本経済新聞 8月16日)

特定技能のメリットは技能実習生に比べて、在留期間を5年延長できることや、賃金が日本人従業員と同等以上に定められていること、さらに転職できることである。地方の雇用主には賃金水準の高い都市部に転職されてしまうという懸念をもつ人もいるが、「実習」というタテマエのもとに転職不能という制度に欠陥があることは、さんざん指摘されてきた。

日本での就労意欲が高い外国人は技能実習生よりも特定技能を選択することが想定される。在留資格を技能実習から特定技能に切り替えるケースは増えるだろうが、その逆は考えにくく、いずれ技能実習は特定技能に吸収されるのではないか。
ただ、目下、コロナ禍で外国人労働者の入国がストップし、雇用を予定していた事業者はアテが外れてしまった。この状況に着目したのがワタミで、コロナ禍で休業した店舗の従業員を介護施設に派遣する取り組みをはじめた。シェアリングエコノミーの考え方である。

ワタミの従業員を受け入れた社会福祉法人伸こう福祉会(横浜市)は、業務縮小などで余剰人となった異業種の従業員を介護施設で積極的に受け入れる方針を固めている。受け入れ時には法人本部および介護事業所でオリエンテーションや OJT 研修を実施する。

受け入れパターンは 2つ。ひとつは、業務縮小中の異業種他社に対す出向契約である。一定期間伸こう福祉会で介護および生活支援業務に携わり、自社の勤務状況が整い次第復職する。給与は伸こう福祉会の設定給与分を出向契約会社に支払い、差額を出向契約会社が負担する。
もうひとつは、失業した異業種勤務者に対する1年未満の直接雇用である。一定期間伸こう福祉会で業務に携わり、希望職種への復帰目途が立ち次第転職する。伸こう福祉会への入職を希望する人は面談のうえ正式に雇用する。
こうした柔軟な雇用形態が普及するとよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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