2020/08/21
コンビニエンスストア最大手セブン―イレブン・ジャパンは売上高で評価していた人事制度を見直す。オーナー支援など40項目の業務プロセスを重視する。本部主導の画一的な店舗戦略を改め、地域特性に合う店づくりを促す。成長が鈍化するコンビニ業界でのセブンの取り組みは、他の小売りにも影響を与えそうだ。
評価制度の抜本的な変更は1973年の創業以来初めて。店舗経営にかかわる本部社員約3300人が対象で、今冬の賞与から反映する。2019年に24時間営業を巡り一部オーナーと関係が悪化したことを受け、オーナーとの連携を重視する狙いもある。
出店地区を統括する約300人の責任者(エリアマネージャー)の場合、担当地区の売上高や利益の達成度合いが人事評価の7割を占めていたが、これを3割に引き下げる。
その一方でオーナーへの経営助言や売れ筋商品の理解度といった業務プロセスを7割に高めオーナーとの連携を重視する。約3千人の店舗経営相談員でも業績評価の割合を4割から2割に下げ、プロセス重視の比重を高める。
(日本経済新聞 8月14日)
「利は元にあり」という商いの原理に基づけば、フランチャイズ(FC)展開で営むチェーンの場合、加盟店オーナーとの信頼関係が盛衰の鍵である。わかりきった理屈だが、共存共栄を掲げながらも本部・加盟店間のトラブルが絶えない。かつてFCコンサルタントの羽田治光氏が「FCはトラブル産業」と喝破したことがあった。当然、FC関係者からは反論も出たが、一面の真理を突いているのではないか。
コンビニエンスストアの営業時間をめぐる紛争をみても、いまだに本部が加盟店を支配する構図がつづいている。これは本部の経営姿勢もさることながら、本部に有利な内容で組み立てられたFCという仕組みにも由来する。ただ、本部に有利な仕組みでないと加盟店が逸脱した行動におよび、FC全体が揺らいでしまうリスクもあるから、本部・加盟店間の力関係自体はやむをえない。
この現状を踏まえて共存共栄を浸透させるには、本部社員の業務評価でオーナーとの連携を重視するのは必然だろう。
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