2020/07/30
大企業の人材がスタートアップを興しやすくなってきた。NECなどで勤務先に籍を残した「出向起業」の制度ができ、経済産業省も補助金を新設して後押しする。半年間の兼業として、起業ノウハウを学ぶプログラムの募集にも大企業社員の参加が目立つ。雇用を維持しつつ挑戦する「日本式起業」として根付けば、スタートアップの裾野が広がる可能性がある。
「顧客の声を直接聞いて技術の可能性を試せる」。GAZIRU(ガジル、東京・港)の福沢茂和代表は話す。NEC一筋で20年以上システム開発をしてきた福沢氏は4月、起業に踏み切った。2年の期限付きで出向する仕組みがあったことが大きい。ベンチャーキャピタル(VC)から調達した数億円を元手に、独立事業として成長を担う。
(中略)
日本の開業率が5%と低い要因の一つに、一度退社すると復帰しづらい慣習がある。出向起業なら、社外に飛び出しやすくなるとみて、経産省は出向起業を後押しする補助金を20年年度に新設。ガジルなど5社に最大500万円を支給すると20日に発表した。
(日本経済新聞 7月21日)
出向起業を後押しして起業を促進することが、有効な施策であることはそのとおりだ。独立起業して失敗すると、それまでのキャリアにもよるが、知人の会社に就職したり、40代半ばを過ぎていれば、やはり知人の会社の社外取締役・監査役・顧問などに就く例が目につく。
道半ばでビジネスパーソンとして旬の時期を終えてしまった印象は否めない。
なかには失敗の教訓を活かして、ふたたび起業に向かい、株式上場を果たす不屈の強者もいるが、経営破綻に伴う労苦で心身をすり減らし、チャレンジするエネルギーは湧いてこない人が多いのが現状だ。この現状を改めるうえで出向起業には期待できる。
ただ、ベンチャー企業を立ち上げて相応の成果を収める人は、不退転の決意で起業に挑んでいる。失敗したら失業すると腹をくくることが、成功するまで諦めないという経営姿勢を生み出すのだ。
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