2020/07/22
日本経済新聞社がまとめた主要企業の社長(頭取含む)交代調査によると、2020年上半期(1~6月)は599社で新社長が就いた。交代した社数は前年同期から111社減り、この10年間で最も少ない。新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業の通常業務が滞るなか、社長交代時期を先延ばしした企業が多かったようだ。
調査対象は上場企業と非上場の大手企業。社長交代社数が減少するのは16年以来4年ぶりとなる。例年から大きく減った理由について、帝国データバンクの神山竜哉氏は「コロナという緊急事態中の交代は一定のリスクもあり、交代時期を先延ばしした企業も多かったのではないか」とみる。
新社長の平均年齢は57.08歳で、前年同期(56.98歳)とほぼ横ばいだった。50歳代の割合は前年同期より1.2ポイント高い47.3%と最も多く、60歳代(37.7%)、40歳代(10.2%)が続いた。
(日本経済新聞 7月12日)
コロナ禍での社長交代にはリスクをともなうとの理由で、社長交代を実施しなかった企業が多いのはやむをえない。収束の目途がついたら交代するのだろうが、収束まで長引くようだと、たとえコロナ禍でも交代するだろう。
世代交代は組織維持の要諦だが、新社長は1960代生まれが中心になった。かつて新人類といわれた世代である。世代交代が進むのは好ましい現象だ。理由は時代の変化に即応するには若さが必要という一般論ではない。経営層が世代交代しないと、下の世代にリーダーシップを振るう機会がいっこうに訪れず、意欲の低下を引き起こしてしまうのだ。
人生100年時代というキャッチフレーズを素直に受け止めて、生涯現役を志向するのは当人の問題だが、“生涯社長”となると事情が違ってくる。当人は日々第一線で張り合いをもって働けるから、充実した人生を満喫できるが、周囲はどうなのか。
加齢にともなう記憶違いや曲解などに振り回され、ピリピリムードを強いられる事態にもなりかねない。家族も好意的に受け止めているとは限らない。地位にしがみついているようにも見えて、(そろそろ引退して、次の人にポストを譲ったらどうか)(若い人に道を空けてあげたらどうか)という心境にもなるのだ。
社長の世代交代は次世代に対する責任でもある。
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