2020/07/21
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、スタートアップや中小IT(情報技術)企業が遠隔地で働く人材の採用を拡大している。勤務地を問わない柔軟な働き方を呼び水に、優秀な人材の獲得を狙う。リモートワーク浸透で「職住近接」の重要性が薄れつつあり、企業が遠隔地の人材に目を向け始めた。
インターネット上で契約できる個人向けカーリースを手掛けるナイル(東京・品川)は6月下旬、リモート勤務を前提とした人材の採用を始めた。家庭の事情などで東京への転居が難しい地方在住者が対象で、約5年間の契約社員として採用する。希望すれば長期の就労も可能だ。
募集するのは自動車販売の経験を持つ営業職で、現在は約20人の営業職を2021年末に50人規模に引き上げる。年収は400万~450万円で、ナイルの東京勤務の社員と同等、業界平均と同等レベルとした。
プログラミング教育のプロゲート(東京・渋谷)は、地方で勤務を希望する人材採用を始める。リモート勤務社員には手当を支給するなど、通常通勤の社員との給与水準に差はないという。
(日本経済新聞 7月12日)
地方創生の鍵は雇用の確保にあると官民を挙げて喧伝されてきたが、企業誘致は過去の手段として過ぎ去り、地方での起業も雇用確保に貢献できる事業規模にはなかなか至らない。
雇用の受け皿としては、全国のほとんどの自治体に開設されている介護施設を候補に挙げる意見もある。2040年にかけて医療介護が最大の雇用セクターになるというシミュレーションもあるが、医療介護は使命感をもたないと務まらない職業分野である。地方移住のために医療介護に職を求めるという動機は生まれにくい。
ところが、多様な働き方が模索されている渦中に、コロナ禍によってリモートワークが普及すれば地方移住が可能になる。地方志向の人にとっては好機だ。リモートワークを推進する企業にとっては、多様なライフスタイルをアピールした採用活動を展開できる。リモートワークの有無が採用格差につながる日も、そう遠くない。
リモートワークを支援する自治体も出てくるだろう。
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