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HIS、全社員に特別手当 1人最大10万円

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旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が、ほぼ全社員に当たる約6000人に1人最大10万円の特別手当を支給することが1日、分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で同社の業績は悪化しているものの、コロナ禍に直面する中で接客対応にあたっている社員や、一時帰休に応じた社員に特別手当で報いる。  
3月末までに入社した正社員、契約社員を対象に今月中に支給する。  
同社の2020年4月中間連結決算は、売上高が前年同期比8.9%減の3443億円、純損益は34億円の赤字(前年同期は49億円の黒字)に落ち込んだ。業績に連動する一時金(ボーナス)は、夏の支給の見送りが決まっている。  
同社はコスト削減のため、今後1年以内に国内店舗の3分の1に相当する80~90店の閉鎖に踏み切る。さらに、厳しい経営環境を踏まえ、21年度入社の新卒採用活動も中止した。(時事通信 7月2日)

ボーナスと残業代をアテにした生活設計が砂上の楼閣であることは、わかりきった現実である。

業績と残業時間に連動した収入は、オマケのようなものだ。だが、多くの会社員にとって、ボーナスと残業代は生活費としてアテにしている収入で、大幅ダウンは生活不安に直結する。

エイチ・アイ・エスが夏のボーナス支給を停止するという報道に接したときに、雇用が維持されるだけでも御の字だと思ったが、1人につき最大10万円の特別手当が支給されることで、多少は救済されたのではないだろうか。

雇用を守ったうえで特別手当を支給したエイチ・アイ・エスは、それだけ社員の生活を慮っている。人間だけでなく会社も、危機に直面したときに本性が露呈されがちだ。

コロナ危機の渦中で、無慈悲に社員をリストラするニュースが頻発しているが、エイチ・アイ・エスは社員を大切にする会社なのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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