2020/06/24
厚生労働省は全国の介護現場に復帰する経験者に対して、最大40万円を貸し付ける方針を固めた。2年間介護の仕事を続ければ返済は免除する。新型コロナウイルスの影響で高齢者施設の業務が増大し、人手不足がさらに深刻化していることから、即戦力となる経験者を呼び戻す狙いがあるという。
厚労省は、これまで全国で行っていた介護福祉士修学資金等貸付制度の再就職準備金貸付事業を拡大して対応する。実施主体は都道府県などで、国は10分の9を負担するもので、第2次補正予算案に計上した。
対象は介護福祉士やホームヘルパー2級、初任者研修修了など介護系の資格を持ち、現場経験が1年以上ある人。社会福祉士などは対象外となる。各都道府県にある福祉人材センターに届け出て、計画書などを作成して申請する。
準備金の金額は自分で決める。その使い道は基本的に自由だが、仕事に使うかばんや自転車、バイクの購入費などを想定。転居を伴う場合は、敷金礼金などにも使えるという。2年間、介護職員として働けば返済は免除される。(福祉新聞 6月15日)
コロナ禍にあって、介護職は“ハイリスク・ローリターン”で、報われない仕事のひとつである。
「給与ナビ」の集計によると、介護福祉士の年収は308万円。都道府県別では東京都がもっとも高く349万円で、もっとも低い宮崎県は240万円である。この給与水準でコロナ禍と闘っているのだ。
これまで介護業界は産業界全体で雇用情勢が悪化すると転入者を確保しやすかったが、コロナ禍でこの給与水準では、転入者の確保を期待できない。
しかも医療従事者への敬意と感謝はさまざまな形で示されているが、介護従事者は役務提供対象のメインが高齢者で、家族に要介護者がいなければ、医療従事者に比べて身近な職業とはいいがたい。
日々の奮闘を報道される機会はあるが、医療従事者に比べれば少なく、ともすれば医療従事者の影に隠れがちである。
コロナ禍で外国人介護人材の確保は不透明になった。よほどの経済的なインセンティブを付けないと、介護人材の確保は厳しい。
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