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ローソン社員、100万円分の自腹営業 関係者が証言

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ローソンの本部社員5人ほどが、出店を担当した関東のフランチャイズ店約10店で、売上高をかさ上げしてノルマを達成するために収入印紙を自費で購入していた。100万円規模で買った社員もいた、というその手法を、関係者が証言した。
ローソンの内部事情に詳しい関係者によると、社員による印紙の自腹購入は、店側に準備を頼むことから始まる。通常のローソン店には数万円分の印紙しかないからだ。
新店の物件探しなどを担う出店担当の社員は、店の経営を指導する別の社員を通じ、店に印紙を仕入れておいてもらう。
店での印紙購入は、総額が数十万円以上になる場合は2回に分けることもあった。買った収入印紙は、金券ショップに持ち込んで換金していた。
「自腹営業」が社内で確認された2018年度当時、首都圏の金券ショップには額面の97%で換金する店があったという。換金率の高さを目当てに他県から持ち込む社員もいた。
それでも、3%分の差額分は自腹。合計で年に10万円以上を負担する社員もいたという。
自腹営業が始まった直接のきっかけは、18年度に、出店を担う社員の新たな評価方法が導入されたことだと関係者は話す。出店担当の社員は、手がけた出店の数が増えれば賞与も増えるが、その基準が示された。
(朝日新聞デジタル 3月27日)

およそ20年前にさかのぼるが、あるコンビニエンスストア本部社員の家族から自腹営業の実態を聞かされた。

その社員は直営店の店長を務めていたが、お歳暮用の贈答品が自室に大量に積んであったので、事情を聞いたら「売上目標を達成するために自腹で購入した」と教えられたという。

家族が「そういう理不尽な目標達成策は会社に抗議すべきだ」と促したら、その社員は「会社からは売上目標の達成を指示されているだけで、自腹購入は指示されていないので無駄だ」と打ち明けたそうだ。

会社側が自腹購入を把握していないはずはなく、いわば給与を巻き上げる構図ができあがっていたのだ。
それだけではない。直営店では、月1回スーパーバイザーが巡回指導に訪問した日の夜に、指導へのお礼として、店長が上司であるスーパーバイザーに自腹で飲食接待をする慣例があったという。

当時から“会社の常識=社会の非常識”という世論は盛り上がっていたが、社員にとっては会社の常識に従わないと人事評価で減点される。ローソンで自腹営業が行われていたことは、“会社の常識=社会の非常識”という風土がいまもなお息づいているのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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