2020/03/23
公務員の人材流出が増えている。大手転職サイトへの公務員の登録数は最高水準にあり、国家公務員の離職者は3年連続で増加した。特に外資系やIT(情報技術)企業に転じる20代が目立つ。中央省庁では国会対応に伴う長時間労働などで、若手を中心に働く意欲が減退している。若手の「公務員離れ」が加速すれば、将来の行政機能の低下を招く恐れがある。
人材大手エン・ジャパンの転職サイトへの国家公務員と地方公務員の登録者数(教師や警察官など)は19年10~12月期は1万2379人で、前年同期に比べて22%増加した。17年に集計方法などを変えたため単純比較はできないが、登録者数としては2000年のサービス開始以降で最高となった。
同社では全体の登録数は3~4%増にとどまっており、公務員の登録者の増加は鮮明だ。
(中略)
慶応大学大学院の岩本隆特任教授の調べによると、霞が関で働く国家公務員の残業時間は月平均100時間と民間の14.6時間の約7倍。精神疾患による休業者の比率も3倍高かった。
(日本経済新聞 3月15日)
中小企業も含めて民間企業にくらべると、公務員の給与水準は高いが、残業手当がつかないなかでの長時間労働は、時給換算をすると割に合わないのだろう。本人にとっては“定額働かせ放題”なのではないか。
国家公務員も地方公務員も就職当初は志を高くしているが、制度の枠内で働くという窮屈さや、長時間労働の常態化、あるいは議員の僕という立ち位置――次第に嫌気がさしてくることは容易に想像がつく。
定年退職後に厚遇されることが約束されていても、それまでは待てない若年公務員が雇用情の芳しいうちに民間への転出を図る。これは自然な流れだが、コロナショックによる景況悪化で雇用情勢が悪化すれば、どうなるだろうか。
雇用情勢が悪化すれば公務員人気が再燃するのは歴史の法則である。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。