2020/02/18
三菱UFJ銀行の労使が2020年春闘で、行員一律のベースアップ(ベア)を廃止し、個人の人事評価に基づいて賃上げ率を決める仕組みで合意する見通しになったことが10日、分かった。年功序列から実力本位にかじを切る。トヨタ自動車労働組合も評価に応じ、従来よりベア額にめりはりをつける制度を要求する。成果重視の枠組みが広がる可能性がある。
三菱UFJ銀の労組は今春闘でベアではなく、給与と賞与を合わせた報酬総額の増加について経営側と交渉する方針だ。20年度以降は増額分のうち、個人の評価で給与を傾斜配分する。
(共同通信 2月10日)
この報道には違和感を覚えた。「年功序列から実力本位にかじを切る」とあるが、三菱UFJ銀行は、まだ実力主義にかじを切っていなかったのか。たぶん実績給で差を設けていたのだろう。
実力主義人事は伸びしろの豊富な若手社員の活力を引き出す上で、いまや当然の人事だが、一方で金融機関の実力主義人事には、不安がつきまとう。
業績給や昇進昇格を追い求めるあまり、強引な営業を仕掛けて、不祥事を頻発させることは自明の理だ。成果追求の前に、コンプライアンス研修や再発防止策なるものが微塵も役に立たないことは、各社とも承知済みのはずだ。
食品製造業や外食産業では「食の安心安全」がキーワードになって久しく、あえて掲げるまでもない時代になった。だが、金融商品に「安心安全」を求めることは、リターンの放棄にも等しく、現実的ではない。
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