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自治体、職員集めに苦闘 民間と競合 辞退者目立つ

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地方自治体が職員の採用に苦闘している。少子化に加え、民間企業の旺盛な採用で人材獲得の競争が激化。合格者が辞退して企業に就職する例も目立つ。自治体は試験の回数を増やしたり、職場体験イベントを開いたりするなど知恵を絞る。合格者には若手職員が相談に乗るなど、辞退を減らす試みも始まっている。
6日、長野県庁で職員が仕事の内容を学生に説明する「ガイダンス女子会」が開かれ、女子学生ら約40人が参加した。質疑応答の際には「育児休業制度はどうなっているのか」「結婚後の異動はどうなるか」といった質問に、女性職員が自らの経験をもとに答えた。「直接説明し、働きやすさを理解してもらうのが狙いだ」(県人事委員会)だ。
(中略)
自治体がこれまで以上に職員の確保に力を入れるのは、企業との競合が激しくなっているからだ。人手不足を背景に企業が採用活動を活発化させる中、負けずに優秀な人材を確保しようという自治体の採用活動は過熱している。
(日本経済新聞 1月13日)

昨年、ある県立病院機構が都内在住の薬学部学生を対象に開いた説明会を取材した。薬剤部長によると「病院薬剤師の給与水準は大手調剤薬局チェーンに比べて明らかに低いので、採用に苦労している」という。

さらに勤務地もネックになっているそうだ。この機構傘下の病院は県内複数の自治体に配置され、へき地も含まれ、配属される可能性もある。へき地医療は社会的意義こそ高いが、当の担い手にとっては、生活環境への対応も含めて大事だ。

同機構は主にUターンする学生を狙っているのだが、へき地勤務の可能性を懸念する学生が少なくないという。

いまの時代、自治体職員の仕事はどの分野であれ、地方創生に収れんされる。だが、少子高齢化という環境に置かれた自治体業務は、学生の目には発展性が見えず、魅力的に映らないのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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