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味の素が希望退職100人募集 50歳以上の幹部対象

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味の素は28日、50歳以上の管理職を対象に100人の希望退職者を募ると発表した。募集期間は来年1月6日から3月13日までの予定。約800人が対象で、退職予定日は来年6月末。

特別加算金を上乗せした退職金を支給し、再就職も支援する。募集人数を超えても受け付ける。

同社では管理職を対象とした早期退職制度はこれまでもあったが、募集期間を限定して行うのは初めて。募集の理由について「事業環境の激しい変化のなかを勝ち抜いていくため、黒字である今だからこそ構造改革を進めていく必要がある」(広報)としている。

味の素は今月6日、2020年3月期通期(国際会計基準)の業績予想を下方修正した。売上高は従来予想より325億円減の1兆1385億円、純利益は同320億円減の180億円の見込み。(朝日新聞デジタル 11月27日)

味の素に人員削減の必要性は発生していない。人員削減は法的には簡単にできない。

厚生労働省のホームページによると「人員削減措置の実施が不況、経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいている」状況で実施する解雇区分が整理解雇である。整理解雇には①人員削減の必要性②解雇回避の努力 ③人選の合理性 ④解雇手続の妥当性―の4つが要件となる。

味の素が発表したのは希望退職である。だが「希望」という言葉が付くものの、多くの企業が実施する希望退職は、退職を希望していない社員にも「辞めてほしい」と促す退職勧奨に等しい。

退職勧奨について、厚労省は「労働者が自由意思により、退職勧奨に応じる場合は問題となりませんが、使用者による労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は、違法な権利侵害に当たるとされる場合があります」と注意を喚起している。

対象社員が退職を拒めば閑職に追いやるのが企業の常道だ。その現実を見透かして「希望」して退職しても、次の仕事がすぐに見つかればよいが、味の素の場合、対象は50歳以上の管理職である。

人手不足の時代とはいえ、この年齢では、よほど妥協しないと次の仕事は見つからないのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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