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8時前に出社する社員は5割、“朝の伊藤忠”が目指す姿

20191122

効率性の追求を狙いに原則として20時以降の残業を原則禁止、早朝勤務へシフトを促す「朝型勤務制度」を導入する伊藤忠商事。意識改革に続き、ペーパレス化の推進や業務プロセスの改善など改革を進めてきた。足元では人材活性化に向けた取り組みを通じ、付加価値の高い業務へのシフトを目指している。
「業務を効率化することで、お客さまへ効果的に対応することが狙いだった」―。西川大輔人事・総務部企画統轄室長は、2013年に導入した朝型勤務制度を振り返る。
(中略)
早朝勤務のインセンティブ(意欲刺激)として深夜勤務同様の割増賃金を支給し、8時前に始業する社員に軽食を無料で配布する。制度導入前の12年度には20時以降に退社する社員が全体の約30%を占めていたが、現状は約5%まで減少。8時前に出社する社員は、導入前の約2割から現在は約5割へ達しようとしている。
あわせて「健康経営も重要施策として向き合っている」(西川室長)。具体策の一つががんとの両立支援に向けた体制の構築だ。
(中略)
同社では、がんとの両立支援施策を構築。早期発見率を高めるため、40歳以上の社員にがん特化検診を義務付け、予防や治療として民間企業では初めて国立がん研究センターと提携した。がんと闘っている社員に対しては“がんとの共生”を評価指標に反映させた。支えとなる支援体制を作っていくことで、組織

力をさらに高めていく狙いがある。
(ニュースイッチ 11月15日)

この記事の後半にある両立支援策は医療界でも議論されている。

中央社会保険医療協議会(会長=田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が10月25日に開いた総会でも取り上げられ、診療側委員と医療費の支払側委員の双方から意見が出た。一部を紹介しよう。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、次のように提言した。

「診療情報の提供先は原則として産業医にすべきだが、産業医の選任義務のない中小企業では、人事労務担当者が診療情報の提供を受けたら、地域産業保健センターや都道府県の産業保健総合支援センターなどに相談するようにしてほしい」。

支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は両立プランの質担保に言及した。
「産業医の選任義務がない中小企業の場合、衛生管理者などが両立プランを作成するが、プランの質を確保する観点から、産業医の医学的見地によるチェックや必要に応じて見直したプランを共有することが、実効性の担保に必要な対応だ」。

来年4月の診療報改定では、療養・就労両立支援指導料の対象疾患をがん以外にも拡大する議論も進んでいる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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