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勤務医の働き方 診療報酬の焦点

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厚生労働省は医療機関に支払う診療報酬の2020年度改定で、勤務医の長時間労働を改善する医療機関への報酬を増額する検討に入った。医師を補助する医療従事者を雇う病院に人件費を手当てする必要があると判断した。薬剤料など薬価の引き下げで診療報酬全体はマイナス改定になる見通しだが、病院の働き方改革を後押しするため、医師の技術料などを引き上げる方向で財務省との調整を本格化させる。
(中略)
病院に勤務する20~30歳代の外科医の約4割は月240時間も残業している。厚労省は本体部分の報酬アップによって勤務医の働き方改革を後押ししたい考え。色湯現場は若手の過重労働で支えられてきたが、政府は24年度から医療機関にも残業の上限規制を導入する。残業を減らしつつ、医療サービスの縮小を招かない対策を進めることが急務だ。
このため、看護師や補助者などに医師の仕事を分担する「タスクシフト」を進める。新たにスタッフを増やす必要があるため、一定の要件を満たした病院への報酬を拡充させて、経営が成り立つようにする。
(日本経済新聞 11月14日)

来年4月に診療報酬が改定されるが、今回の改定で新たに加わったテーマが医師の働き方改革である。診療報酬の配分を決める中央社会保険医療協議会(会長=田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が10月18日に開いた総会で、医師の働き方改革をめぐって、診療側と支払側の間で意見が対立し、双方とも譲らなかった。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「医療機関が労働時間短縮に取り組むにはコストがかかる。医療機関を維持するためのコストは診療報酬によって手当されることが原則と考えている。医療の質を落とさずに、医療安全を図りながら労働時間短縮に取り組むには、とくに入院については基本部分に手当が必要だ」と主張した。

働き方改革のコストを基本診療料に上乗するのが診療側の意向だが、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は反論した。
「具体的に医療機関のマネジメントがどのように変化して、医師の勤務環境の改善につながり、それが患者にとって加算に見合うメリットにつながっていくのか。国民にしっかり説明できなければならない。現状では基本診療料の在り方を議論することには疑問を持っている」
 基本診療料への反映の仕方はともかく、働き方改革にともなうコストは、診療報酬改定で手当されるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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