2019/11/15
日米や欧州を含む先進各国が加盟する経済協力開発機構(OECD)は7日、医療に関する2019年版の報告書を発表した。日本は人口10万人当たりの医学部卒業生数が、比較可能な35カ国のうちで最も少ない6.8人だった。医師に占める55歳以上の割合は37%で、平均(34%)より高い。OECDは日本の医師数の先細り感に関して「医療提供体制を維持していく上で課題だ」と指摘している。
人口10万人当たりの医学部卒業生最多はアイルランドで24.9人。デンマーク(21.5人)、リトアニア(19.3人)が続いた。下位は日本、イスラエル(6.9人)、韓国(7.6人)の順だった。(共同通信 11月7日)
厚生労働省は「医師不足」という言葉を使用しない。「地域と診療科による医師の偏在」と公式見解だが、勤務医の全国団体である全国医師連盟は「医師の絶対数が不足している」と主張する。
不足なのか偏在なのかは計算式にもよるが、医療現場が疲弊していることには変わりない。OECDは調査結果をもとに、日本について「医療提供体制を維持していく上で課題だ」と指摘しているという。
日本人が高齢化すれば、当然ながら医師も高齢化してゆく。厚労省が推進している在宅医療は24時間365日体制が通例だから、たとえば60歳を過ぎた医師には体力的に難しく、世代交代が進まないと大幅な戦力ダウンは否めない。
医学部卒業生が少ないというOECD調査は、国民皆保険制度を創設し、世界最高水準の医療技術を確立した日本が、医療過疎国に向かうことを暗示しているのだろうか。
もっぱら財政問題から社会保障制度の持続可能性が議論されているが、若い医師が誕生しなければ、医療提供体制でも持続可能性が危ぶまれてくる。
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