2019/11/12
メーカーから小売りまで様々な企業によるIT人材の奪い合いが、終身雇用や報酬制度まで変えつつある。
「企業は本気で変わろうとしている」。そんな思いを胸に川上達也(33)は英NTTの関連会社でクラウド開発に打ち込む。NTTコミュニケーションズの技術者だったが、管理職になり現場を離れる将来に幻滅し、3月に退職しようとした。しかし最先端の現場にいながら厚待遇も権限も得られる人事制度ができると慰留された。今は給与も3割増しの1千万円超だ。高度技術者だと認められれば、年収は最高で3千万円になる。
新卒を大量採用して手厚く育てるNTTグループは、IT人材の供給源だ。NTT社長の澤田純(64)は「研究開発人材は35歳までに3割がGAFAなどに引き抜かれる」と打ち明ける。経済産業省によると米国ではIT人材の平均年収のピークは30代で1200円超だが、日本では30代は520万円程度だ。
(日本経済新聞 11月5日)
IT人材に高給を支払う流れに対して、「社内でのバランス調整はどうするのか?」という疑問も耳にしたが、その懸念はもはや時代遅れのようだ。
IT部門の現場はそれどころではない。ITの優劣が企業の明暗を分け、ITの優劣は人材の優劣に起因する。GAFAのIT人材に対抗できる人材を獲得するには、GAFA並みの処遇が求められるのは必然だ。
社内のバランスを優先して、同年齢・同格の社員に準ず給与しか支払わなければ、既存の社員と同レベルの人材しか獲得できない。しかし、それでは何も変わらない。
一方、IT人材は取締役級の給与を得る以上、実績を出さなければ大幅減給や降格を強いられ、辞めざるを得ない状況に追い込まれることは百も承知だろう。高給を用意されるIT人材は、いわば“プロ社員”なのである。
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