2019/11/10
加藤厚生労働相は、1日の閣議後記者会見で、過労死の労災認定の基準見直しに向け、来年度に有識者検討会を設置する方針を明らかにした。
現在は、脳や心臓の疾患による過労死として労災認定する「過労死ライン」を、残業時間が「1か月で100時間」「2~6か月平均で80時間」としている。しかし、こうした基準は2001年から変わっておらず、過労死問題に取り組む弁護士が「過労死ラインを月65時間に見直すべきだ」と要望していた。
同省はまた、パワハラなどが原因で起きる精神障害による過労自殺の認定基準についても、別の有識者検討会を設置する。
(読売新聞 11月1日)
今年6月に全国医師連盟が開いたシンポジウムで、連盟代表理事の中島恒夫氏(丸子中央病院・消化器内科医)はこう語った。
「医師の働き方改革について、いろいろなシンポジウムが開かれているが、現場目線ではなく大変もどかしい気がする」。
中島氏は心臓血管外科医として働いていた32歳の時、ICUで診療中に狭心症が発症し、その後も1度、狭心症が発症した経験を持つ。2度目の発症前後には、毎月の労働時間が300時間を超えていたという。
厚生労働省が運営する医師の働き方改革に関する検討会は、時間外労働時間の上限について、地域医療維持の観点から地域医療確保暫定特例水準を設けて「年1860時間」(月平均155時間)とした。
この暫定特例水準に対して、中島氏は「年1860時間分の残業手当を払うのなら、医師を2人雇ったほうがよい。医師の働き方改革は“病院管理者の働かせ改革”でもある」と見解を示した。そのとおりだ。働かせ方を改革しない限り、勤め人は働き方を改革できない。
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