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リストラ最大の標的はバブル期入社世代

ono20191019

先日のキリンホールディングス(HD)の“早期退職募集”報道には驚いたが、大企業の早期退職募集はコレだけではない。一昨年には三越伊勢丹HDが、昨年はNEC、今年初めには、カシオ計算機、コカ・コーラボトラーズジャパンHD、富士通と相次いだ。規模の違いこそあれ、ひとつ共通項がある。早期退職の対象年齢を「40代後半から50代半ば」に定めていることだ。

結論を先に言えば、最大のターゲットはやはりバブル期入社世代ということか。おおむね1986~91年の大卒入社組で、現在、年齢は50~55歳。全国に推定250万人以上いる。あのTVドラマ、半沢直樹たち世代もそうだ。

入社時はバブル絶頂期。企業の求人数は就職希望者数を大幅に上回っていたために、“実力以上”の優良企業に入れたラッキーな世代とも揶揄される。どの会社でも他世代に比べ圧倒的に数が多いボリュームゾーンであることも間違いない。(日刊ゲンダイDISITAL 10月10日)

東京商工リサーチの調査によると、2019年1月-9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人を超えた。すでに18年(1-12月)の12社を大幅に上回って14年の32社に迫り、人数も2010年(同)の1万2223人を超える勢いをみせているという。

業種別では、業績不振が目立つ電気機器が8社、薬価引き下げや国外メーカーのライセンス販売終了などを控えた製薬が4社。卸売は3社で、うち靴卸売が2社、衣料品卸売が1社で、いずれも業績が精彩を欠くアパレル関連だった。

東京商工リサーチは「業績が好調な企業が将来を見越した『先行型』の募集を実施するケースも目立つようになった」と分析している。そのあおりをバブル期入社組が受けているのだが、ひと回り年下の就職氷河期世代と同様に、雇用問題に瀕する事態となった。

人手不足の時世ゆえに職にはつけるが、生活設計の修正は避けられない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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