2019/10/09
三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は10月から中小企業向けのハラスメント保険の補償範囲を広げる。契約した企業がグループ会社の社員に訴えられたときの賠償費用も支払う。セクハラなどの訴訟では、当事者の企業以外に親会社などが責任を問われる可能性がある。故意でなく、思わず生じたトラブルへの補償に対応する。
ハラスメント向けの保険は中小企業向けの賠償責任保険と労災保険への特約として提供しており、10月から補償範囲を改定する。例えば子会社の社員が親会社にセクハラの被害を相談していながらきちんと対応できず、保険を契約する親会社が訴訟で責任を問われたときに賠償金を肩代わりする。従来は契約した会社自身の社員からの訴訟の賠償金しか補償できなかった。(日本経済新聞 10月1日)
ハラスメント保険とは、いかにも寂しい金融商品だ。それだけリスクが増大した証しで、ハラスメントの撲滅は不可避と考える企業は(とりあえず)という気分でこの保険を契約しているのだろう。
そもそもハラスメントに対する罰則規定を強化しても、規定がマトモに運用されなければ「あったこと」は「なかったこと」にされてしまう。堪忍袋の緒が切れた社員は訴訟に踏み切るのだが、企業側はハラスメント保険に入っていても安泰ではない。
賠償費用を確保できて損失を防げたところで、賠償費用を支払うことは信用の失墜である。支払いについて守秘義務契約を交わしても、いずれ漏れるものだ。
たしかに保険でカバーすることも事後対策のひとつだが、同時にハラスメントはキャリアのタトゥーになりかねないことを社員に教え込んだほうがよい。
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