2019/10/01
厚生労働省は24日、違法な長時間労働(残業)が疑われる全国の2万9097事業所を2018年度に調べた結果、約40%の1万1766カ所で法令違反を確認したとの監督指導結果を発表した。母集団が異なり、単純比較はできないが、17年度も約45%、1万超の事業所で確認されており、違法な状況が依然残っている実態が浮かんだ。
労働者に残業をさせる場合には、労使間で「三六協定」を結ぶことが必要。協定がなかったり、協定の上限を超えたりすると違法となる。働き方改革関連法の本格施行で、19年度からは大手企業対象に残業時間の罰則付き上限規制も始まった。(共同通信 9月24日)
違法残業問題はいっこうに解消に向かわない。当局があの手この手で策をめぐらせても、堂々と違法残業が行なわれている。
労働基準監督署が企業から軽視されているとは思えないが、違法残業が撲滅されそうにない。いくら罰則付きの残業時間上限規制を設けても、人手不足でそれどころではない企業も多いうえに、そもそも遵守するつもりがない企業もまた多い。
(会社の常識は社会の非常識、会社の非常識は社会の常識)となかば居直っている背景には、いくつかの事情が潜んでいるが、突き詰めれば仕事が好きなのだろう。早めに帰宅しても時間を持て余してしまい、大型連休に入ると、心身ともにヒマ疲れしてしまうから、ともかく働いていたい。
生産性を向上できれば残業時間を削減できるが、それでは時間を持て余してしまう。その怖れが残業削減への抵抗を生み、生産性向上を阻んでいるのだろうか。いや、生産性が向上すれば、また新たに仕事をつくり出して、多忙を維持すればよい。違法残業企業の経営幹部はそこまで考えているのかもしれない。
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