2019/09/19
優秀な人材を確保するために、NECは10月から研究職を対象に、新卒年収が1000万円を超える可能性がある給与を支給すると発表した。これが技術・研究系の職場に衝撃を与えている。
大学時代の論文が高い評価を得た新卒者を対象にしていて、これまでの年功序列とは全く異なる破格の厚待遇となる。年功序列が主流である日本企業の中では、異例の取り組みだ。裏を返せば、能力のある人材を生かす給与体系に変えていかないと、グローバル競争の中では勝てない状況になりつつあることを表している。
AI(人工知能)、バイオテクノロジーなどの先端技術分野では、優れた研究者のアイデアが製品化につながる。そのため、大手の技術系企業は将来のヒット商品の開発につながるような「金の卵」を、のどから手が出るほど欲しがっているのだ。
ソニーは6月から、AIなどの分野で高い能力がある新入社員を優遇する新しい制度を始めた。同社では役割(グレード)に応じた等級制度が導入されていて、その役割に基づいて給与水準を決めている。
(ITmediaビジネス 9月12日)
すでに外資系企業では職種ごとに市場価値に応じた給与が設定されている。職種ごとに給与に差があり、さらに実績主義が加わるので、平均給与は意味をなさなくなっている。ベンチャー企業もこれに近い。
“職種・実績序列人事”が浸透している外資系企業群に立ち向かうのには、給与体系の変革が必須である。旧来の給与体系でキャリアを積んできた中堅以上の社員が、若手社員に給与で追い抜かれる例が増えるが、この逆転現象に不平不満を抱く社員は“社内では終わった人”に等しい。
時代が変わり、仕事の価値序列も変わったことを受け入れて、自分の持ち場で価値を創出しつづける以外にない。
ただ、20代前半から年収1000万円以上を得られるのはAI人材など一部に限られ、それも高額報酬を支払える大手企業にすぎない。
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