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在宅勤務を分散取得 大塚製薬、育児・介護で計1年間

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大塚ホールディングス傘下の大塚製薬は新たな在宅勤務制度を8月から始めた。育児や介護が必要な社員を対象に期間中に、合計1年間の在宅勤務を分散してとれる点が特徴だ。「ファミリースマイルサポート」の名称で、人事部が制度の説明を各部署へ始めた。

制度は入社3年以上の社員が対象となる。妊娠が判明した女性社員や、子供が生まれた男性社員については、小学校1年生が終わるまで利用できる。親の介護が必要になった社員も対象にする。在宅勤務は仕事ができる机があるといった規定を設けた。

まとめた1年間取得するのではなく、期間中に分けて取得できる。必要なタイミングで必要な期間を社員が選べるようにすることで使い勝手を高めた。

在宅勤務中は、情報のやりとりなどのため、月に1回は会社に出社する仕組みとした。(日本経済新聞 9月4日)

育児や介護に対応できるように勤務体制を変更することは当たり前になったが、介護に限ってみれば、時間だけの問題ではない。介護保険サービスの自己負担割合が増加する時勢にあって、自己負担に耐えられる家庭かどうかも深刻な問題になってゆく。

被介護者である親に負担能力がなければ、子供が負担せざるをえないが、親の介護に直面するおもな年代である40~60代がピンチなのだ。

内閣府の調査によると、40~64歳のひきこもり状態の人は全国に61.3万人。就職氷河期世代(2019年4月時点で大卒者37~48歳、高卒者33~44歳)は、総務省の統計では18年時点で1689万人。35~44歳のフリーターは52万人、非正規労働者は317万人。合わせて372万人である(18年時点、厚労省調査)。

引きこもり状態層、フリーター、非正規労働者を合計すると433.1万人である。自活能力が不十分なのに親の介護に入れば、収入増を図る時間も奪われかねない。“中年受難の時代”を迎えている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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