2019/09/05
就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが学生の「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で、一部の大学でリクナビ離れが出始めた。同社の小林大三社長は26日の都内での記者会見で「私たちへの信頼は失墜しており、事業の存続に関わるレベルだ」と危機感を示したが、実際に大学からの不信感が高まっている。
明治大学は今秋に開く就活ガイダンスで「マイナビ」「キャリタス就活」などの就活サイトは学生に紹介するが、リクナビは対象外にする。学生に推奨できるサービスではないと判断したようだ。都内の別の私大も「10月の終活ガイダンスの一部をリクルートキャリアに依頼する予定だったが、他社への見直しを検討している」と話す。
リクルートキャリアは今回の問題で個人情報保護委員会から是正勧告を受けたことを受け、28日までに全国の大学に「大学関係者のみなさまに十分なご説明ができておりませんでした」と謝罪するメールを送った。だが、ある都内私大の就職支援課の関係者は「どうやって学生視点をサービスに取り込むのか具体策に乏しい」と冷ややかだ。(日本経済新聞 8月29日)
この問題が発覚して以降、リクルートキャリアが記者会見を開いたのは個人情報保護委員会から是正勧告を受けてからで、ずいぶん遅かった。
通常は即座に会見を開いて、事実関係の調査と再発防止策の策定を発表するものだが、会見までに時間がかかったのは、何かしら会見を開けない事情があったからなのか。そこに問題の本質が潜んでいるような印象すら覚える。
リクナビが就活サイトで圧倒的な優位性を発揮しているのなら、今回のような問題が発生してもリクナビ離れは起きない。だが、リクナビにはマイナビというライバルが存在し、企業も学生もマイナビさえ活用できれば、おおむね事足りるのではないか。
だからリクナビ離れが起きているのだ。大学側は、リクナビの個人情報管理体制に確実な信頼性が担保されない限り、リクナビ活用に踏み切れないだろう。学生の個人情報管理について管理責任を問われかねない。
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