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新入社員2人に労災 セクハラや長時間労働で

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神奈川県厚木市の外壁塗装会社ユーコーコミュニティーの新入社員だった女性2人がうつ病を発症したのはセクハラや長時間労働が原因だったとして、労働基準監督署が労災認定したことが21日、分かった。代理人の弁護士らが東京都内で記者会見し明らかにした。
弁護士らによると、今年1月に平塚労基署、同7月に厚木労基署が認定した。同社は「元従業員が精神疾患にり患されたことは大変遺憾。労災認定については労基署の調査結果内容を確認できていないのでコメントを差し控える」としている。
弁護士らによると2人は2017年4月に入社し11月にうつ病を発症。同僚の前で会長から「みんながおまえを嫌いになる」と叱られたり上司に体を触られたりした。労基署は発症前1カ月の残業時間は85時間を超えていたと認定した。
2人は美大出身で技術職希望だったが、営業担当に配属され、1日当たり200軒を訪問することを課せられた。セクハラ被害を訴えると会長が「セクハラは神様が与えた試練」などと言い、耐えるよう求められたという。
同社は「女性が活躍できる会社」などとうたっているが、会見に同席した女性は「長時間労働は当たり前でパワハラ、セクハラも見て見ぬふりの劣悪な環境だった」と話した。
(日本経済新聞 8月22日)

ユーコーコミュニティーの社長は女性だが、会長が実権を握り、業務にも深く関与しているのだろう。経営者は多かれ少なかれ支配欲求を抱いているが、それが高じると、法律や常識よりも自分の価値観を優先する姿勢が強固になってゆく。
この会社は今年3月5日、読売新聞「きらり企業」のコーナーで、「女子力で塗装をアートに」というタイトルで掲載された。ホームページを見るとテレビのバラエティー番組にも何度か取り上げられている。

マスメディアにひんぱんに取り上げられる企業には、革新的で透明度が高いイメージが形成されるが、メディア対応に長けているにすぎない。もちろんメディア対応は重要な戦略だが、企業体質の実態が旧態依然のままでは、どこかでボロが出るものだ。

この記事によると、同社は「元従業員が精神疾患にり患されたことは大変遺憾。労災認定については労基署の調査結果内容を確認できていないのでコメントを差し控える」と回答しているが、調査結果内容を確認できた時点で、きちんとコメントを発表しないと、今後はメディアに好意的に取り上げられなくなるのではないか。

もっとも(喉元過ぎれば熱さを忘れる)(人の噂も七十五日)という習性から、メディアもネタに困ったら、女性活用の好事例として取り上げるようになるかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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