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60歳以上労災死傷者急増、4分の1占める 転倒、腰痛 サービス業で

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労働災害を巡り、60歳以上の死傷者が増加している。厚生労働省によると、昨年は3万3246人で、この5年間で7500人近く増えた。その割合も全体の4分の1を占め、主にサービス業での転倒や腰痛などが増加傾向にある。人手不足が深刻化する中、体力の衰えた60歳以上の労働者が増えてきているためで、厚労省の有識者検討会は年内にも健康管理や業務上の配慮など必要な対応策をまとめた指針を策定する。
厚労省がまとめた2018年の労災発生状況によると、死傷者数は全体で12万7329人(うち死亡者は909人)。このうち60歳以上は前年比10.7%増の3万3246人で、26.1%を占めた。同じ年の全労働者に占める60歳以上の割合は17.2%(総務省調査)で、労災の発生はこれを大きく上回る。
就業構造の変化から、近年は労働者全体でみても小売業や社会福祉施設、飲食店など第3次産業での労災死傷者の発生が全体の半数を占めている。特に、転倒や腰痛が多く、70歳前後の労災発生率は30歳前後と比べ、男性は2倍、女性は5倍にもなる。
(毎日新聞 8月18日)

転倒や腰痛が発生するのは現場作業の従事者だろう。高齢者の体力を考慮すれば現場作業は適さないのだが、人手が欲しいのは現場である。外国人労働者を求める職場と同様である。高齢者に合わせた安全対策も必要だが、現場作業の生産性との兼ね合いから、簡単に処理できる課題ではないのではないか。

さらに高齢者の就労促進で懸念されるのが自動車事故である。地方では自動車で通勤する職場が多いが、高齢者を雇用すれば通勤中の事故も想定される。就労先は通勤対策に直面するが、どんな対策を打つのだろうか。

人数が一定以下で、居住地が一定圏内に収まっていれば、通勤用にマイクロバスを巡回させれば対応できるだろうが、大人数が散在して居住する職場では難しい。雇用者を巡回エリア内の居住者に限定すると、必要人数を確保できるとは限らない。

さらに高齢社員が搬送業務を担当すれば、やはり運転事故リスクが浮上する。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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