2019/08/19
入管難民法で定められた労働時間の上限を超えて外国人留学生を働かせ、超過分の賃金を支払わなかったとして、川崎北労働基準監督署が3月、川崎市の介護施設に是正勧告していたことが留学生を支援するNPO法人「POSSE」への取材で9日までに分かった。
POSSEによると、介護施設はフィリピン人の20代女性に、留学生の上限である週28時間のアルバイトとは別に、ボランティア名目で週10時間前後勤務させたのに給料を支払わなかったなどとして、労働基準法違反で是正勧告を受けた。
女性はボランティアの時間もアルバイトと同様に、入居者の介護をしていた。施設側は是正勧告後、女性に未払い賃金など計約110万円を支払った。
この女性を含め、同じ運営会社の介護施設でアルバイトをするフィリピン人留学生4人が1月、未払い労働をPOSSEに相談。女性らは、来日の際にフィリピンの仲介業者から介護施設の運営会社を紹介された。
運営会社の顧問弁護士は「是正勧告を真摯に受け止め和解した。運営する全ての施設で業務改善に取り組んでいる」とコメントした。
(日本経済新聞 8月9日)
これは制度を悪用した事例である。週28時間という労働時間の上限を超えて、さらに10時間働かせたというが、その10時間分の業務には介護報酬が発生している。それにしても、ずいぶん大胆にタダ働きをさせたものだ。
介護業界はブラック労働現場イメージからの脱皮を図るために、就労環境の改善に取り組んでいる。シンポジウムなどで「介護業界は3Kの職場ではない」という発言が出ると、場内に拍手が沸き起こることもある。
そのぐらい改善環境に必死に取り組んでいる施設もあるのだが、この記事で報道されたような介護施設があると「案の定、介護施設では……」と、ブラック労働現場イメージが再強化されてしまう。
健全経営の基本は自助努力だが、使い捨て意識が一朝一夕に改まることは期待できない。ユニオンなどによる外圧も必要である。
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