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「上司を評価」全省庁で 課長級、今秋から

政府は今秋から、立場が異なる複数の関係者が管理職を評価する「360度評価」を中央省庁のすべての課長級の人事評価に拡大する。財務省や文部科学省など一部で先行実施していた。部下を指導するマネジメント能力の向上を促す。セクハラやパワハラの防止にもつなげる。
360度評価は上司が部下を評価する従来型の人事評価ではなく、上司、同僚、部下など立場が異なる複数の関係者が対象者を評価する手法だ。多面観察とも呼ばれる。学校法人「森友学園」に関する公文書の改ざんやセクハラ問題を受け、財務省が省内改革の一環で導入した。
室長級を含む管理職の約4600人に対象を広げる。政府は3月に決めた人事管理運営方針に「本府省等において原則として少なくとも課室長級職員を対象として多面観察を行う」と記した。
(日本経済新聞 8月5日)

どんな評価制度も、評価制度が人事に反映されなければ、たんなるガス抜きに終わってしまう。360度評価で部下からの評価に瑕疵が認められても、実務能力が評価されれば昇進を重ねてゆく例は数多い。

上司が人望に欠けているという指摘ならマイナス評価ですむが、上司からのハラスメント行為の指摘を看過したら、360度評価は空回りしてしまう。評価結果から問題人物が判明すれば毅然とした措置が必要だ。

ただ、将来の次官候補と目されるような幹部職員の評価に重大な瑕疵が認められた場合、左遷すれば憶測を招き、メディアにも大袈裟に書かれかねない。組織防衛至上主義が宿っている中央省庁が、どこまで真っ当な人事を断行できるだろうか。

それにしても、勤め人は人事評価に隷属した生き物で、退職するまで人事評価との隷属関係はつづく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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