2019/08/09
政府は31日、就職氷河期世代の就労を後押しするため、施策の司令塔となる「支援推進室」を内閣官房に設けた。バブル経済崩壊後に高校や大学を卒業した30歳代半ばから40歳代半ばの人材について、正規雇用での就労を促す。8月中に支援策を取りまとめ、2020年度予算の概算要求に反映させる。
就職氷河期世代への支援は6月に閣議決定した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で打ち出した。不況期で就職できなかったり、仕事に就いても非正規だったりしたケースが多く、正規雇用での就労を後押しする。骨太方針では正社員を3年間で30万人増やす目標を掲げている。
室長は古谷一之官房副長官補が務め、厚生労働、文部科学両省など関係省庁の幹部ら約30人で構成する。各省庁の施策をまとめ、政府一体で支援策を推進する。(日本経済新聞 8月1日)
就職氷河期世代は1993年~2004年頃に学校を卒業した世代で、2019年4月時点で大卒は37~48歳、高卒は33~44歳。総務省の統計では、人口規模は2018年時点で1689万人、15~64歳人口に占める割合は22.4%である。
団塊世代の人口が約800万人だから、じつに2倍に達する。2025年問題も2040年問題も“団塊世代問題”だが、就職氷河期世代が高齢化すれば、社会保障は“高負担・低福祉”を強いられるのではないか。
この世代の就業状況はどうなっているのか。厚生労働省の調査によると、2018年時点で35~44歳のフリーターは52万人、非正規労働者は317万人。合わせて372万人である。
フリーターだけでなく、非正規労働者の多くが国民年金を納付していないだろう。このまま20年経てば“年金ゼロ人口問題”が浮上し、その10年後には生活保護費が国の財政を圧迫する。政府が掲げるのは30万人の正社員化だが、それが実現したところで到底追いつかない。
安倍政権が掲げる全世代型社会保障の対象に、就職氷河期世代は大きなウエイトを占めている。
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